Course Progress
Part of 5 Chapters
Chapter 1
金融の重力:債券の価格と利回り
#債券価格の決定#最終利回り (YTM)#クーポンレート#額面金額#割引 (Discounting)#金利リスク
Chapter 1. 金融の重力:債券の価格と利回り
債券はグローバル金融システムの屋台骨です。株式が「希望と成長」を象徴するなら、債券は ==「負債と確率」== を象徴します。債券の上級コースをマスターするには、まず債券界の最も根本的な法則、すなわち価格と利回りの「シーソー原理」を完璧に理解する必要があります。
1. 逆相関の法則:シーソー原理
固定利付資産 (Fixed Income) において最も重要なルールは、市場金利と債券価格が反対方向に動くということです。
債券価格と金利のシーソー
| 市場金利の状態 | 債券価格の変化 | 理由 |
|---|---|---|
| **上昇** ↑ | **下落** ↓ | より低い利息しか払わない既存債券の魅力が低下する |
| **下落** ↓ | **上昇** ↑ | より高い利息を払う既存債券の価値が高まる |
| **安定** → | **安定** → | クーポンレートが市場金利に近い場合、額面近辺で取引される |
2. 高度な評価: DCF モデル
債券の価格は、将来受け取る全てのキャッシュフロー(利息 + 元金)を現在の価値に換算して合計した値です。
1
キャッシュフローの把握将来受け取るクーポン(利息)と最終的な額面償還額をリストアップ
2
割引 (Discounting)各時点のキャッシュフローに市場割引率 (YTM) を適用
3
合計各時点の現在価値 (PV) を全て足し合わせ「適正価格」を算出
4
評価算出された適正価格と現在の市場価格を比較し、割安・割高を判断
3. 最終利回り (YTM) の理解
YTM (Yield to Maturity) は、債券を満期まで保有し続けた場合に得られる、年平均の総合収益率です。
- ==「市場の期待収益率」==: YTM は、全ての利息収入が同じ利回りで再投資されるという仮定を含んでいます。
- 直接利回り vs 最終利回り: 直接利回りは単純に投資元本に対する毎年の利息のみを見ますが、 YTM は価格変動によるキャピタルゲインやロスまで含めた「投資全体の旅」の収益率です。
直接利回りと最終利回りの違い
| 区分 | 焦点 | 対象 |
|---|---|---|
| **直接利回り** | 短期的な現金収入 | クーポン収入のみ |
| **最終利回り (YTM)** | 長期的な総利益 | クーポン + 価格変動益 |
Note
額面回帰効果 (Pull to Par): 債券価格が額面に対して高くても安くても、満期が近づくにつれて価格は自然と額面金額( 100 円など)に向かって収束していきます。
4. 結論:重力の核心を読む
債券価格の決定は単なる数式ではなく、 ==「お金の時間価値」== が具体化された結果です。金利が債券価格をいかに引き寄せ、押し戻すかを理解するだけで、あなたは世界で最も巨大で複雑な市場を航海するための強力な武器を手に入れたことになります。
📚 セウン教授の厳選ライブラリ
- [債券分析の理論と実践] - フランク・ファボッツィ: 債券投資のバイブルと呼ばれる必読書。
- [債券・金利のしくみ]: 金利変動がいかに経済全体に影響を与えるかを分かりやすく解説しています。
- [証券分析]: 債券のバリュエーションとリスク管理に関する最も精密なガイド。
次回は、 「デュレーションとコンベキシティ」 — 金利が 1 % 変化した時、債券価格が正確に何 % 変化するかを測定する方法を学びます。