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Chapter 4
クレジット分析とスプレッド:リスクの価格
#信用格付け#投資適格#投機的格付け(ジャンク債)#TED スプレッド#OAS(オプション調整スプレッド)#デフォルトリスク#回収率
Chapter 4. クレジット分析とスプレッド:リスクの価格
全ての債券が安全なわけではありません。政府が発行する国債は「無リスク」に近いですが、企業が発行する社債には ==クレジットリスク(信用リスク)== — すなわち、企業が約束したお金を返せない可能性が含まれています。投資家はこのリスクを取る対価として、国債よりも高い利回りを要求しますが、この差を 「スプレッド (Spread)」 と呼びます。
1. 信用の言語:格付け
格付け機関は債券世界の「裁判官」の役割を果たします。企業の財務状態を分析して、グレードを決定します。
グローバル格付け体系の比較
| 分類 | S&P / Fitch | Moody's | 説明 |
|---|---|---|---|
| **投資適格** | AAA 〜 BBB- | Aaa 〜 Baa3 | 財務構造が堅実でデフォルトリスクが低い。保守的な運用に最適。 |
| **投機的格付け (Junk)** | BB+ 〜 B- | Ba1 〜 B3 | ハイイールド債。利回りは高いが元本毀損のリスクが存在。 |
| **デフォルト / 破綻** | CCC 〜 D | Caa 〜 C | 極めて高いリスク。既に破綻したか、再建中の状態。 |
2. クレジット分析の 5 つの要素 (5 Cs)
機関投資家は、どのような基準でお金を貸すか決定するのでしょうか?彼らは体系的な「クレジットチェック」プロセスを経て判断を下します。
1
Character (誠実性)経営陣の道徳性、過去の債務履行記録や評判の確認
2
Capacity (返済能力)キャッシュフロー分析を通じて利息と元本を返す能力があるか確認
3
Capital (資本力)自己資本比率や内部留保など、財務的なバッファーを評価
4
Collateral (担保)デフォルト発生時に回収可能な実物資産や保証の有無を確認
5
Conditions (環境)業界動向やマクロ経済環境が企業の生存に与える影響を分析
3. スプレッドをマスターする
スプレッドは社債トレーダーにとって最も重要な指標です。これは「リスクプレミアム」の大きさを意味します。
- オプション調整スプレッド (OAS): 債券に含まれるコールオプションなどの価値を取り除いたスプレッドです。最も「純粋な」信用リスクを表します。
- TED スプレッド: 3 ヶ月物リボ (LIBOR) と 3 ヶ月物国債利回りの差。金融システム全体の ==システム的リスク== や恐怖を表す古典的な指標です。
- スプレッドの拡大 (Widening): スプレッドが大きくなることは、市場が企業のデフォルトリスクをより懸念していることを意味します。
Warning
デフォルトの罠: ハイイールド債は魅力的な 2 桁の利回りを提供しますが、たった 1 件のデフォルトでポートフォリオ全体の利息収入を吹き飛ばす可能性があります。クレジット投資の核心は、徹底した分散投資にあります。
4. 結論:不確実性に価格を付ける
クレジット分析は、 ==「金融と現実」の架け橋== です。格付けとスプレッドを読めるようになれば、市場が過度に悲観的なのか(割安な債券)、あるいは危険なほど楽観的なのか(割高なクレジット)を、自らの目で判断できるようになります。
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