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Chapter 10

ポートフォリオ最適化:最適な投資の組み合わせを探して

#現代ポートフォリオ理論(MPT)#効率的フロンティア(Efficient Frontier)#分散投資効果#シャープ・レシオ(Sharpe Ratio)

ポートフォリオ最適化:リスクと収益の調和

「卵を一つのカゴに盛るな」という格言を数学的に定立したのが、まさに 現代ポートフォリオ理論 (Modern Portfolio Theory, MPT) です。個別資産のリスクよりも資産間の「相関関係」を活用して、全体ののリスクを下げるのが核心です。

1. 分散投資の魔法:相関関係 (ρ\rho)

二つの資産の相関関係が低いほど(特に -1 に近いほど)、ポートフォリオ全体の変動性(リスク)は、各資産の平均リスクよりも著しく低くなる可能性があります。

資産間の相関関係によるリスク減少効果

相関関係 (ρ)リスク減少効果核心的な意味
+1.0全くなし二つの資産が完全に一致して動く (単純合算)
+0.5わずかな分散効果方向は同じだが歩幅が異なる
0.0かなりの分散効果互いに全く関係なくランダムに動く
-0.5強力な分散効果一方が下がるときにもう一方が上がる確率が高い
-1.0リスクを完全に除去可能互いに反対方向へ完全に非対称移動

2. 効率的フロンティア (Efficient Frontier)

数千の資産の組み合わせの中で、同一のリスク水準で最も高い収益を提供する地点を繋ぐと、一本の曲線が現れます。これを 効率的フロンティア と呼びます。

効率的フロンティアと最適ポートフォリオ

Important
この曲線の下に位置するポートフォリオは「非効率的」です。同じリスクでより高い収益を上げたり、同じ収益をより少ないリスクで上げられる組み合わせが存在するからです。

3. 最適配分の3段階プロセス

ポートフォリオマネージャーが実務的に最適化を遂行する過程は以下の通りです。

1
期待収益および共分散の推定

各資産の予想収益率と資産間の相関関係を過去データなどから算出します。

2
目的関数の設定

最小分散ポートフォリオを求めるのか、あるいはシャープ・レシオ(収益/リスク)最大化を目標とするのかを決定します。

3
制約条件の付与

特定の資産比率が30%を超えないようにしたり、空売りを禁止したりするなど、現実的な制約を追加します。

4
最適化の実行 (QP)

二次計画法 (Quadratic Programming) アルゴリズムを通じて、各資産の具体的な比率 (W) を導出します。


💡 教授からのヒント

マーコウィッツの理論はノーベル賞を受賞しましたが、現場では「推定値に敏感である (Input Sensitivity)」という点から、そのまま使うのが難しい場合も多いです。これを補完するために、「ブラック・リッターマン (Black-Litterman) モデル」のような、より精緻な手法が現代の金融工学で活用されています。

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