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Chapter 5

ブラック・ショールズ・モデル:オプション価格の定석

#ブラック・ショールズ・モデル#ボラティリティ#利子率#残存期間

ブラック・ショールズ・モデル:オプション価格決定の革命

1973年にフィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズが発表したこのモデルは、「複雑な権利に対していくら支払うのが公正か?」という問いに数学的な回答を提示しました。

1. モデルの核心的アイデア:無リスク・ポートフォリオ

ブラック・ショールズ・モデルの根幹にあるのは**複製(Replication)**です。オプションと株式を適切な比率で組み合わせれば、株価がどのように動こうとも価値が変化しない「無リスク・ポートフォリオ」を作ることができ、そのポートフォリオの収益率は必ず無リスク利子率(rr)と一致しなければならないという論理です。

2. オプション価格を決定する5つの変数

ブラック・ショールズ公式において、オプション価格(CC または PP)は以下の5つの変数によって決定されます。

オプション価格決定変数とその影響

変数意味コール・オプションへの影響プット・オプションへの影響
株価 (S)原資産の現在の価格上昇 (+)下落 (-)
権利行使価格 (K)あらかじめ定めた権利行使価格下落 (-)上昇 (+)
残存期間 (T)満期までの残り時間上昇 (+)上昇 (+)
ボラティリティ (σ)株価の変動の激しさ上昇 (+)上昇 (+)
利子率 (r)無リスクの市場金利上昇 (+)下落 (-)

3. 価格算出の論理的フロー

ブラック・ショールズ価格は、以下のような確率的なプロセスを経て導出されます。

1
対数正規分布の仮定

株価の対数収益率が正規分布に従うと仮定します。

2
d1, d2 の算出

原資産価格と権利行使価格の関係を標準化された数値に変換します。

3
累積期待分布の適用

標準正規分布表を用いて権利行使の確率を求めます。

4
現在価値への割引

あらかじめ定められた権利行使価格を現在価値に割り戻します。


💡 教授からのヒント

「ボラティリティ(σ\sigma)」は、オプション価格決定変数の中で唯一、市場で直接観測することができない値です。そのため、現在の市場価格を公式に逆算して「インプライド・ボラティリティ(予想変動率)」を抽出することもあります。これが恐怖指数(VIX)の核心です。

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