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Chapter 2

労働者編:雇用契約書の中の「毒薬条項」A to Z

#違約金#みなし残業#競業避止義務#労働基準法

第2章:労働者編:雇用契約書の中の「毒薬条項」A to Z

社会人生活の始まりは契約書への捺印からです。しかし、気持ちが昂って細かい条項を無視してしまうと、後に転職ができなくなったり、想像もしなかった違約金を請求されたりする可能性があります。労働者が必ずチェックすべき**「3大毒薬」**を見ていきましょう。


1. 「辞めるなら金を払え」:違約金の予定と損害賠償

最も一般的で強力な毒薬条項の一つです。「2年間の義務在職期間を満たせない場合、研修費100万円を返済する」といった形式です。

  • 原則:日本や韓国などの労働基準法では、違約金の予定そのものを禁止しています。
  • :しかし、「海外研修費」や「サイニングボーナス」の返還約定は、実費弁済的な性格として認められる場合があります。
  • チェックポイント:実際に支出された費用なのか、それとも単に労働者を縛り付けるためのペナルティなのかを区別する必要があります。

2. 「残業代は込みです」:みなし残業代の落とし穴

基本給に時間外・深夜・休日手当をあらかじめ含めて支払う制度です。

区分正常なケース毒薬条項の兆候
手当計算時間外の分だけ追加支給労働時間に関係なく固定額支給
業務の性格時間の測定が難しい特殊職出退勤が明確な一般事務職
最低賃金遵守義務は当然手当込みで最低賃金を下回る事例が頻発

教授の警告:出退勤時間が明確な事務職なのに「手当は給与に含まれている」という言葉だけを信じて無限に残業をしているなら、それは明白な法違反の可能性が高いです。


3. 「ライバル企業への転職禁止」:競業避止義務条項

退職後、一定期間は同業他社へ転職しないという約束です。

  • 有効性:憲法上の「職業選択の自由」を侵害する恐れがあるため、裁判所は厳格に判断します。
  • 判断基準
    1. 保護すべき企業の秘密があるか?
    2. 禁止に対する適切な代償(手当)を支払ったか?
    3. 期間や地域が過度に広くないか?
  • 対応:代償もなく2〜3年も転職を禁止する条項は、法廷で無効になる確率が高いです。

4. 各国の労働法の視点

グローバル労働契約の毒薬条項ポリシー

競業避止義務の状態解雇・退職体系
米国 (FTC)全面禁止を推進中At-will(自由な解雇・退職)中心
韓国代償がない場合は無効解雇は厳格、退職は比較的自由
日本判例で厳しく制限韓国と同様だが、企業文化的な重圧が存在
ドイツ代償支払いを義務化退職時の給与の50%支給時のみ有効

核心チェックリスト

  • 労働基準法上、単純な違約金の予定(ペナルティ)は無効です。
  • みなし残業であっても、実際の勤務時間が設定時間を超えれば追加手当を請求できます。
  • 競業避止義務は、会社から「特別な代償」がない限り、無効になる可能性が高いです。
  • 契約書の控えは必ず受け取り、保管しておかなければなりません。