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Chapter 8

時系列分析の基礎:時間の流れに隠されたパターン

#時系列 (Time Series)#定常性 (Stationarity)#自己相関 (Autocorrelation)#ARIMA

時系列分析:昨日のデータで明日を語る

株価、為替、月次売上高のように「時間の経過」に沿って観測されたデータを 時系列データ と呼びます。一般的な独立した観測値とは異なり、時系列データは過去の値が将来の値に影響を与えるという「自己相関性」を持っています。

1. 時系列データの4つの構成要素

私たちが目にする複雑なグラフは、実は4つのリズムが組み合わさった結果です。

時系列データの構成要素分析

要素意味具体例
傾向 (Trend)長期的に上昇または下落する傾向人口増加、技術発展
季節性 (Seasonality)一定の周期(1年、1週間など)で繰り返されるパターン夏季のエアコン売上、週末の外食比率
循環性 (Cycle)決まった周期はないが、景気変動のように上下するもの経済成長率、不動産景気
不規則変動 (Irregular)予測不可能な火災や天災などによる変動パンデミック、突発的な戦争

2. 時系列分析の前提条件:定常性 (Stationarity)

モデルが将来を正確に予測するためには、データの統計的特性(平均や分散)が時間とともに一定である必要があります。これを 定常性 と呼びます。もしトレンドがある場合は、「差分 (Differencing)」をとることでデータを定常的なものにしてから分析を開始します。

3. ARIMA モデリングの3段階 (Box-Jenkins法)

最も代表的な時系列モデルである ARIMA (自己回帰和分移動平均モデル) は、以下のプロセスを経て完成されます。

1
識別 (Identification)

ACF や PACF のグラフを見て、AR と MA の次数を決定します。

2
推定 (Estimation)

最小二乗法などを用いて、モデルの係数(パラメータ)を求めます。

3
診断 (Diagnosis)

残差(誤差)にパターンが残っておらず、ホワイトノイズ (White Noise) であるか確認します。

4. 季節性パターンの視覚化

以下は、ある製品の月別売上データに現れる典型的な季節性パターンを示しています。

月別アイスクリーム売上推移(季節性の事例)

毎年夏場(7~8月)にピークを迎え、冬に落ち込む明確なリズムを示しています。


💡 教授からのヒント

時系列分析の第一歩は「グラフを描いてみること」です。統計的なテストをする前に、目で見て傾向や季節性を確認することが分析の半分以上を占めます。時系列分析家は、目でリズムを読み取る指揮者のような存在です。

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